1.話者の招へいと海外実地調査 5月末にサハリンからウイルタ語およびエウェンキー語の話者3名を招へいし、資料の収集・分析、および研究打ち合わせを行った。滞在中に一般市民向けに講演と民族音楽の実演を行い、固有の言語と文化の重要性について市民レベルで共感してもらう機会がもてた。夏休み期間に、代表者はロシア・沿海州地域においてウデヘ語の実地調査を行った。分担者は中国・内蒙古でソロン語、アムール・沿海州地域でナーナイ語・ウデヘ語の調査を実施した。いずれにおいても、既採集資料の分析確認と、新たな資料の収集を行った。 2.シンポジウム・学会等での発表 6月に北海道大学で行われたシンポジウム「口承文芸の魅力 アイヌとその隣人」において、分担者が招待講演を行った。9月には札幌で行われた日本オーラル・ヒストリー学会において、代表者がコメンテータとして本研究関連の発表を行った。さらに10月には、モスクワで開催されたフィールド言語学に関する国際シンポジウムにおいて、研究協力者が「日本におけるツングース語研究」について共同報告した。 3.テキスト・コーパスの作成と刊行 本研究による調査、およびこれまでの研究で蓄積されていた録音音声資料および筆記資料について、電子コーパスとしての利用をはかるべく、データ入力と分析整理作業を進めた。そのうち冊子体のテキスト集として2冊を本研究経費で刊行した。これとは別に、本研究と関連して3冊のテキスト集を他経費で刊行した。
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