研究課題
1)平成18年度は主に、文処理についての研究を進めた。特に人間の記憶課題遂行中の脳活動と、文理解課題遂行中の脳活動を比較した。その結果、文理解に特異的に反応する脳内の領域は存在せず、記憶課題に対して反応した領域での活動のみが見られた。よって、文理解は記憶のシステム上で行われていることを示す結果となった。2)また、上記の研究と並行して、母語話者の語彙処理と第二言語学習者のそれとを比較するfMRI研究を行った。特に、第二言語の語彙処理には母語の違いが影響するのか否かについて検証するため、中国人・韓国人と日本語学習者を比較した。その結果、第二言語の語彙処理には、文字体系の違いにおいて母語の影響が見られることが明らかになった。この結果は、平成18年6月イタリア・フィレンチェで行われたHuman Brain Mapping国際学会、および広島で行われたCBLセミナーにおいて発表した。3)共同研究者のJorge Rieraは、"Approaching neuronal computation and functional neuroimaging"のタイトルで、EEG・fMRI融合計測装置に関わる基礎研究の成果を、イタリアで行われたHuman Brain Mapping国際学会で発表した。4)また当研究以前からの研究遂行結果を"Journal of Cognitive Neuroscience"と"Neuropsychologia"の国際雑誌論文として出版した。5)上のfMRI実験研究の他には、Jorge Rieraがorganizerとして、また宮本正夫がlocal committeeのchairとして、海外からの参加者約80名を集め、Workshop on Brain Connectivityを5月17日からの3日間、仙台市・秋保温泉で催した。6)さらに、Jorge Rieraは、平成19年2月キュウーバ・ハバナで行われた2nd International Congress of Bioinformatics and Neuroinformaticsに招待され、EEG・fMRI融合計測装置に関するテーマで講演をおこなった。7)一方、宮本正夫は3月カナダ・ヴィクトリアで行われたJapanese Linguistics Forumにキーノート・スピーカーとして招待され、"Memoirs of the Japanese Psycholinguistics Project"のテーマで講演をおこなった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Journal of Cognitive Neuroscience 18
ページ: 1304-1313
Neuropsychologia 45.4
ページ: 989-996