研究概要 |
1)平成21年度はそれまでの三年間とは異なった年度であった。例年の「Human Brain Mapping国際会議」での参加発表は、大学の新インフルエンザ海外出張自制命令によりその機会を逃した。更に研究代表者・宮本は、所属する研究科より客員教授としてのトルコ出張命令を受け、9月の末より4ヶ月間日本を離れ、共同研究者であるホルヘリエラ(応用医学物理学者)に研究を託することとなった。平成21年度の研究成果は上の様な事情を反映し、言語処理そのものより研究手法としての脳イメージングに関する基礎研究を主とするものとなった。 2)研究代表者はCuban Neuroscience Center(キューバ神経科学研究センター)の招待を受け、9月8日に当センターとハバナ大学外国語学部の共催のもとで、「Kanji and Kana Processing : a fMRI study」のタイトルで講演を行なった。同内容の講演は12月29日、出張先の大学院(Faculty of Communication, Hacettepe University, Ankara, Turkey)でも公開講演として発表した。 3)研究分担者は5月金沢での「Biomagnetism and Bioelectromagnetics学会」において、脳イメージング計測においてはメゾ・レベルでいかなる問題に注意を向けるべきかについて発表を行った。 4)研究分担者は8月カナダ・モントリオールでの学会で、脳イメージング分野で最もホットなトピックと言っても良い「神経ネットワーク」の問題を取り上げ、ネットワーク作成におけるアストロサイトの機能の重要性を解説した。 5)学術雑誌への投稿論文としては4部ある。まず言語処理に関する脳イメージング研究としては、語彙範疇の違いが単語処理に影響を及ぼすのか否かのテーマで行った実験研究の結果をStudies in Language Sciencesに論文として投稿し、受理された。 6)脳イメージング計測手法の基礎研究としてか欠かすことのできない研究は、人間の脳のイメージングの信憑性を動物の脳のイメージングでのデータと比較し検証することである。7テスラのfMRIを用い、また、EGGとの融合実験装置を用い、ホルヘリエラは彼の指導する研究員・大学院生達と共に積極的な研究活動を行っている。(当科研費の成果とはみなしえないが、ラット用のEGGとfMRIの同時計測装置で特許も申請中である。)その積極的な活動の一旦として、次の三つの国際雑誌でその成果を発表した: Current opinion in Neurology、Journal of Neurophysiology、NeuroImage。それらの雑誌論文は査読を経たものであり、目下印刷中である。 それらの投稿論文は全て当科研費の成果として見なし得るものである。
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