研究課題/領域番号 |
18320067
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
萩原 裕子 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (20172835)
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研究分担者 |
萩原 裕子 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (20172835)
今中 國泰 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (90100891)
多氣 昌生 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (60145670)
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キーワード | 事象関連電位(ERP) / 統語処理 / Scrambling / 言語性ワーキングメモリ / SAN / P600 / 構造的統合 / 意味的統合 |
研究概要 |
事象関連電位(ERP)実験では、128チャンネル脳波装置を用いて日本語の左方転位かき混ぜ文のデータ再解析、および日本語文処理における格助詞の役割に関する実験を行った。1.左方転位かき混ぜ文のデータ処理方法について再検討し、新たな処理方法を用いて再解析を行った。その結果、前回検出された4つの成分(言語性ワーキングメモリを反映する前頭部持続性陰性波(SAN)、構造の構築を反映するP600,意味と統語の統合を反映する前頭部陰性波(AN)、統語違反を反映する左前頭部陰性波LAN)すべてにおいて、再現性を確認した。この結果はJournal of Cognitive Neuroscience,19(2)に出版された。2.日本語文処理において重要な役割を果たすと思われる格助詞の役割について、読み実験、プライミング実験、脳波実験を行った。脳波実験では、かき混ぜ文にとどまらず、格助詞なしの基本語順文でも持続性陰性効果が観察されたことより、持続性陰性効果は単語の保持だけでなく、予測にも関連することが示唆された。また予測通りの解釈が成り立つ名詞句でP600が観察され、言語学的統合を反映していることが分かった。一方、そのP600の頭皮上分布は右半球後方優位であり、構造的統合を示す左側頭前頭P600とは分布が異なった。右半球後方優位のP600は、構造的統合ではなく、予測の整合性、意味的統合に関わっていることが示唆された。
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