研究課題/領域番号 |
18320072
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
真田 信治 奈良大学, 文学部, 教授 (00099912)
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研究分担者 |
水野 義道 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60190659)
中井 精一 富山大学, 人文学部, 准教授 (90303198)
DANIEL Long 首都大学東京, オープンユニバーシティ, 准教授 (00247884)
鳥谷 善史 天理大学, 文学部, 講師 (30412133)
朝日 祥之 国立国語研究所, 時空間変異研究系, 准教授 (50392543)
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キーワード | 言語学 / 国語学 / 残存日本語 / 方言分析 / 言語接触 |
研究概要 |
アジア太平洋地域には、戦前・戦中に日本語を習得し、現在もその日本語能力を維持・運用する人々が多数存在する。本研究では、これらの地域において日本語を第二言語として習得した人々を対象に現地調査を実施してきた。日本が撤退して数十年が経過したが、現在これらの地域に居住するかつての日本語学習者はどのような種類の日本語を維持しているのか。これは、言語の習得・維持・後退にかかわる研究に幅広く貢献するはずの課題である。特に半世紀以上にわたる第二言語の維持といった事象を取り上げ研究対象としたものは世界的にも例を見ない。当該年度は本研究の最終年度である。各地において補充のための現地調査を敢行した。特に台湾については、日本語をベースとしたクレオール、「宜蘭クレオール」をめぐる集中的な調査を実施して、『台湾「宜蘭クレオール」の基礎語彙集』を作成し、報告書を公刊することができた。本研究による日本語の維持状況についての調査成果を総括すると、次のようになる。「これら地域の話者が話す日本語には言語としての合理化(簡略化)が進んでいる。また、現地音からの転移がそれぞれの日本語を彩っている。なお、居住していた母語話者の出身地とのかかわりで、台湾日本語は九州北部方言を基盤としたものになっており、サハリン日本語は北海道方言を基盤としたものになっている。ただし、日本語運用能力に関しては話者による個人差が各地ともに著しい。」
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