研究概要 |
1.研究の目的 本研究は,方言情報を地理情報システム(Geographical Information System : GIS)に組み込むことにより,諸種の地理情報と方言分布を総合的に分析する方法を構築し,言語地理学を新たな方向に展開させることを目的とするものである。 2.研究実施状況 最終4年次にあたる本年度(H21年度)は,過去3年次の実績を承けて,収集した収集の整理と分析を継続し,全体のとりまとめを行うことで,研究目的を達成させた。 (1)研究打ち合わせ 研究打ち合わせを行い,a.GISに関する知識を共有しつつ,b.GIS利用上の技術的・方法論的問題点を解決し,c.新しい言語地理学の方向を確立させた。 (2)方言データの作成・収集・公表 言語内情報に関して,a.昨年度までに得た新規方言分布データを整備し,b.方言データの地理情報化を完成させ,公表した。 (3)言語外地理情報の獲得 言語外地理情報の獲得を通して,a.情報の性格の確認,ならびに,b.情報の整理を実施した。 (4)データの統一 GIS利用にあたり,地理座標フォーマットの統一を確立した。 (5)分析 方言地理情報と言語外地理情報のオーバーレイ(重ね合わせ)や言語外情報に基づくバッファリング(重複距離面積等の解析)を中心に分析を実施し,有効な情報・手法の選択を明確にした。 (6)作業マニュアルの作成 方言分布研究に適合したGISの利用法マニュアルを作成した。 (7)成果報告 国内外の学会・研究集会等で分析結果を報告し,GISを基盤とした言語地理学の有効性をアピールするとともに,全体の成果を論文集にとりまとめた。 (8)知見の共有化 得られる知見を共有化するために,代表・分担者間のMLの活用を継続した。
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