研究課題/領域番号 |
18320075
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 耕司 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教授 (00173427)
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研究分担者 |
松本 マスミ 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10209653)
谷口 一美 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (80293992)
児玉 一宏 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (40340450)
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キーワード | 反語彙主義 / 含意的動作主 / 多動性交替 / 非対格性 / 構文文法 / 認知文法 / 動詞の意味素性 |
研究概要 |
本年度は3年計画の初年度であり、各個人ごとに従来の研究を推進・拡張することとしていた。藤田は、自説の三層分裂動詞句構造を支持する研究を、統語論や言語獲得、脳神経科学の文献に幅広く渉猟し、併せて従来からの生物言語学的考察をさらに深めた。松本は、統語論・意味論による中間構文の研究を検証し、英語、オランダ語、独語、仏語における非人称中間構文、付加詞中間構文も含めた包括的な中間構文の分析の可能性を検討した。また、アメリカ言語学会で中間構文における含意的動作主についての研究発表への議論に参加し、非対格・非能格動詞分類から目的語交替を統合的に分析した。谷口は、構文文法および認知文法における「構文」の定義を吟味すると共に、発達的観点から構文の習得プロセスについて、抽象化能力との関連から考察を行った。また、子どもの発話のデータベースであるCHILDESの利用方法を検討し、次年度以降、具体的に中間構文を分析するにあたっての基盤を準備した。児玉は、語彙意味論研究の知見に基づき、Pinkerが仮定する動詞の意味素性の組み合わせによって構文具現のあり方が決定されることを中間構文のデータを取り上げて考察した。また動詞の意味素性の同定に関する認知的基盤について、構文文法に基づく分析を視野に入れ、中間構文研究の妥当な方向性を探った。これらの成果は次年度における共同研究の基盤として重要なものとなる。なお本年6月には、国内外の著名研究者を招いた国際ワークショップを京都で開催すべく、現在準備中である。
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