研究課題/領域番号 |
18320077
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
小野 祥子 東京女子大学, 文理学部, 教授 (90152529)
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研究分担者 |
久保内 端郎 駒澤大学, 文学部, 教授 (90017624)
池上 恵子 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (00119356)
SCAHILL John 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90231068)
田辺 春美 成蹊大学, 文学部, 教授 (10179814)
中村 幸一 明治大学, 政治経済学部, 教授 (70237395)
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キーワード | 英語史 / 中英語 / AB言語 / B言語 / 異写本 / 電子テクスト / データベース / パラレル・テクスト |
研究概要 |
英語散文史において重要な13世紀の「AB言語」をB言語から検証することを目的として、初年度はB言語で書かれたKatherine Group(以下KG)中のSeinte Katherineを中心に正・異写本テクストの厳密な転写と、本パラレル・テクスト化を行った。これに基づき、異写本テクスト間の異同の精査・比較を行い、Ancrene Wisse(AW)を含むAB言語の通時的共時的検証を行った。 この成果をもとに、2006年12月京都産業大学で開催の日本中世英語英文学会第22回大会シンポジウム"The Linguistic and Literary Context of the AW Group"(司会研究分担者(池上))において、研究代表者(小野)および研究分担者(Scahill、田辺)が研究発表を行った。小野は、フランス語借入語に関してKGとAWとの間に量的のみならず質的な差異があること、およびAWのNero写本およびVernon写本にフランス語借入語が多く見られることを明らかにして過去の研究成果に新たな知見を加えた。田辺は、形態論の視点からAWの写本間の語尾変化の差異を詳細に検討し、Nero写本の擬古性を明らかにした。Scahillはこれまで研究の少なかったAWのGonville写本版に見られる写本修正箇所の入念な検証を行い、同写本の位置づけに新たな知見を加えた。さらに、発表者として招聘の英国Southampton大学Bella Millett博士との意見交換を行い、AWとフランス文化との関連について貴重な示唆を得た。このシンポジウムでの成果を、The Linguistic and Literary Context of the AW Group(中世英語写本研究会編)と題して刊行した。他の研究分担者の成果は別表の通りである。加えて、研究代表者とScahill、田辺は07年3月Bodleian Library、British Libraryに赴き、原写本との照合作業を行い、コーパスの研究資料としての厳密化を図った。底本としたEETSの刊本に再検討すべき点が少なからずあることが判明し、さらなる課題が加わった。
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