研究課題/領域番号 |
18320080
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
佐々木 泰子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (20251689)
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研究分担者 |
内田 伸子 お茶の水女子大学, 理事・副学長 (70017630)
岡崎 眸 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (80223999)
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キーワード | 説得方略 / 発達過程 / 話し合い / 相互行為 / ナラティブ / 接触場面 / 合意形成 / 談話標識 |
研究概要 |
(1)人数グループの話し合い活動 「まず、小学生から大学生までの話し合い活動について、談話標識「だって」及び「モダリティ表現」を分析の手掛かりとして、説得方略及び合意形成の過程にみられる発達段階を探った。その結果、学年があがるにつれ、談話標識「だって」においては、客観的理由をもとに相手を説得するようになること、もダリティ表現においては、意見や主張を強める表現は減少し、緩和する表現が増加することが確認された。話し合い活動における相互行為能力の発達段階として萌芽期、移行期、成熟(前)期という三つの段階が仮説として導かれた。 次に、中国人学習者と日本人学生による話し合い活動について、反対意見表明に焦点をあて、分析した。その結果、中国人学習者には、より明示的に反対意見表明をする傾向がみられた。学習者の母語の会話のスタイルの影響が示唆された。 (2)2者間の会話 日本語学習者と日本人学生による接触揚面の会話を日本語母語場面の会話と比較し、ナラティブ及び終助詞の分析を行った。 ナラティブの終結部の受容の連鎖に着目し、質的、量的に分析した結果、学習者にとっては評価や感想の発話をすることが難しいことが検証され、接触場面のナラティブには母語場面のような共感構築的な側面が少ないことが明らかになった。一方、日本人学生も接触場面では評価や感想発話が母語場面と比較すると少なく、会話を成立、維持していくために調整していることが明らかになった。 終助詞「ね」「よね」の分析は、ナラティブと異なる角度から、接触場面における会話の特徴が共感構築的側面より、情報のやりとりを中心としていることを検証した。 これらの研究は、留学生及び日本人の小学生から大学生までのコミュニケーション能力を解明する手掛かり並びに仮説を提示し、留学生及び日本人の発達段階に応じた日本語のコミュニケーション能力育成のためのモデルを提示するためには不可欠であり、重要な基礎研究であると考える。
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