これまで集めたデータの中から、日本語学習者の多い中国語母語話者と韓国語母語話者を取り上げDIF分析を行った。その結果、中国語母語話者にとって、漢字に関わる項目が大きなDIFを生じさせていることが明らかになった。漢字の既有知識がDIFとして検出されることは当初から予想されたが、中国語母語話者は、たとえその漢字を知らなくても、選択肢や課題文の漢字を手がかりに正答に至っており、日本語の学習に漢字が有利に作用していることが今回の結果から裏付けられた。 また、文化的背景の違いによるDIFが検出された。語学学習に文化的背景への理解が必要となる場合もあろうが、出題者が意図的に出題したと思われる問題項目以外でもDIFが検出され、DIF研究をする意義が認められた。 これらの結果については、香港の学会で発表を行った。 また、当初の2年間では予定のデータ数に至らなかった英語圏のデータ収集を行うため、オーストラリアと英国で調査を行い、あわせて、ベトナムでの調査も行った。
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