研究概要 |
本研究の研究目的は次の通りである。 1. 音声・映像・字幕情報が一つに束ねられたマルチメディアとしての英語素材の提示時間軸を同期の取れたかたちでリニアに変換し学習者に提示した場合に, 素材における元々の時間軸に比して, どのような要素が学習者の視聴取に影響を及ぼし, また, 視聴取に効果を生じせしめているのかを明らかにする。 2. 1. での解析結果に基づきラベルを設定し, 英語学習者に有益なデーターベースを作成する。 本年度の研究実施計画は(1)音声・映像・字幕情報の時間軸をリニアに変換処理する実験・解析システムを維持する。(2)研究者における専門分野の手法に基づき時間軸変換処理を施した素材を解析する。(3)検証実験を実施する。(4)ラベルを設定しデーターベース作成に向ける。(5)解析・検証実験から導き出された結果から, 提示時間軸変換処理精度の向上につながる部分を抽出・検討し改善を試みる。であった。 先行研究では, 外国語でストループテストを実施した場合, ストループ効果はその言語の修得度の指標と見なすことができるとする研究がある(苧阪1993)。しかし, 本研究では, 字幕提示の有無に関係なく, ストループ干渉効果が見られないグループほど聴解テストの結果が高くなった。特に, 字幕ありについては, 被験者内検定において, 統計上有意な傾向を示す負の相関も見られた。このことは, 外国語におけるストループ干渉効果値を, 単純に当該言語の修得度の指標としてみることに対し疑問を投げかけている。また, 学習者の特性を考慮して字幕提示をする必要性を示唆している。
|