研究課題/領域番号 |
18320101
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研究機関 | 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
吉川 聡 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 文化遺産部, 主任研究員 (60321626)
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研究分担者 |
富田 正弘 富山大学, 人文学部, 教授 (50227625)
永村 眞 日本女子大学, 文学部, 教授 (40107470)
渡辺 晃宏 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 史料研究室長 (30212319)
綾村 宏 京都女子大学, 文学部, 教授 (20000507)
遠藤 基郎 東京大学, 史料編纂所, 助教授 (40251475)
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キーワード | 中村準一寄贈文書 / 興福寺 / 唐院・新坊 / 号所 |
研究概要 |
今年度は研究の初年度であり、東大寺図書館にて3回の調査を実施した。1回あたり5日間、計15日間である。調査対象は、主として中村準一寄贈文書である。中村準一寄贈文書は現在、新修東大寺文書聖教の中に全部で9函を把握しているが、その中でまずは新修東大寺文書聖教第15函を調査した。3回の調査で、第15函全点のラベル貼り・パソコンへのデータ入力を終了した。その内容は、江戸時代後期から明治20年頃までの、中村家に関わる古文書類だった。江戸時代には、中村家は興福寺の唐院・新坊に仕えており、その関係で、興福寺領に関する史料が多く存在した。その中には、例えば江戸時代奈良町の号所に関する史料も多く含まれており、号所の実態を研究する上などでも注目される史料である。また、明治維新期の古文書も多く含まれており、明治維新時における興福寺・春日社関係史料としても興味深いものだろう。さらに、その後明治時代に中村家が神官などを務めていることも判明する。近世興福寺で実務を担当した、その実務の内容と、近代以後の転変を示す好史料といえる。 また来年度には、中村準一寄贈文書の続きとして、新修東大寺文書聖教第35函以下を調査する予定である。今年度、調査に先行して粗分類を行なったところ、第35函には江戸時代後期の日記が入っていた。ほぼ連年に渉って遺存しており、極めて詳細な内容を有しているので、当該時期の興福寺・奈良関係の史料として重要なものと思われる。 以上の調査は、ラベル貼り・パソコンへのデータ入力を優先して実行しているが、一部はマイクロカメラによる写真撮影も実施している。 初年度は順調に調査を始めることができたところである。今後、さらに調査研究を進め、理解も深めていく必要がある。
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