研究課題/領域番号 |
18320109
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
服部 英雄 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (60107521)
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研究分担者 |
井上 聡 東京大学, 史料編纂所, 助教 (20302656)
細井 浩志 活水女子大学, 文学部, 教授 (30263990)
橋本 雄 北海道大学, 大学院・人文科学研究院, 准教授 (50416559)
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キーワード | 日本史 / 民衆知・暗黙知・個人知 / 流通 / 時間(絶対時間・相対時間) / 地名地図 / 金融 / 潮流(反流・沿岸流) / 航海術(夜間・海中地名) |
研究概要 |
時間について 中国でも日本でも相対時間、つまり昼時間の均分で行われる時刻制度(不定時法)の方が初現的・自然発生だったと考えた。絶対時間の測定は絶対時計である水時計(漏刻)で行われる。正確さが求められる中、皇帝が管理する絶対時間の登場で、相対時間は表面上では絶対時間(定時法)と交代する。昼夜を問わず会議があった貴族社会では絶対時間が採用され、夜間時刻も測定された。一般社会ではどうか。相対時間(不定時法)と絶対時間(定時法)の両立に香時計が使用された可能性を考えた。香の燃える時間は絶対時間ながら、目印(こま)を操作することによって相対時間が測定できた。 航海技術について 夜間の航海について。高倉院厳島御幸記を見ると、貴族が乗った船は夜間航海を避けている。キリシタン宣教師も日本では夜の航海はしないと書いているが、実際には暗くなってからの到着事例はある。遣明船などの遠洋航海では当然に夜間航海した。この場合、北極星を初めとする星座の運行と観察が大きな役割を果たしたが、研究集会においてさまざまな民間信仰にそれが残されているという報告を受けた。 潮流 長崎県生月島での現地調査。手こぎ船時代、平戸本島・生月島間では潮流が逆の場合でも航海することが必要とされた。沿岸流(反流)と時間帯による潮位と進入可能域について、さまざまな海中地名が記憶されていることがわかり、民衆知として報告した。中世『言継卿記』には伊勢湾横断・南下、三河湾横断の時刻を記した記事がある。これを現代潮位と比較した場合、潮流のみでは圧倒的に不足で、風や人力に大きく依拠していたことを明らかにした。
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