文献史学・考古学・地理学・民俗学の研究者が協力し、徹底した史資料の相互批判を前提にその共有化を図るとともに、共同調査・研究を通じて、新しい環境史研究の方法の構築をめざす。対象である琵琶湖集水域は完結性の高い地理的・歴史的空間で、農・林・漁業や交通・流通などの社会的分業を高度に発達させるとともに、文献史料や民俗資料に恵まれ、伝統的な景観・環境もよく保存されているなど、環境史研究にとって最適のフィールドである。かつて琵琶湖に多く存在した内湖は、漁労や狩猟・採集などの多様な生業の場であると同時に、津や城館・集落などが立地し、支配の拠点ともなったが、水位変動などの影響によってダイナミックに消長を繰り返した。本研究では内湖に焦点をあて、琵琶湖の歴史的環境の変化と人間の関わりの具体的な姿を、複合的な視点から明らかにする。
|