本研究では、諸分野の研究者が共同で勧修寺に現存する聖教・文書の調査を進めるとともに、勧修寺を中心に諸寺院間交流という共通テーマを掲げて、研究を行うことが目的である。以下、具体的な研究計画毎に本年度の実績を報告する。 (1)勧修寺現蔵の聖教・中世文書の悉皆調査、目録作成、写真撮影および勧修寺旧蔵史料の調査 勧修寺での史料調査は夏・冬・春の3回計15日間実施するとともに、目録の校正作業のための調査を2・3月に計4日間行った。調書はすでにすべて取り終え、そのデータ入力もほぼ完了しつつあり、現在は目録データベースの校正作業を進めている。また、写真撮影も順調に進んでいる。さらに、勧修寺旧蔵史料の全体像を解明するために、今年度は京都府立総合資料館架蔵の東寺観智院聖教写真を確認する作業を行った。 (2)勧修寺での調査成果を踏まえ、諸寺院間での宗教的・社会的交流をテーマとする研究の遂行 勧修寺での調査毎に研究会を実施し、研究組織構成員が研究発表を行い、議論を深めた。今年度の研究成果として『勧修寺論輯』5号を刊行すべく、準備を進めている。 (3)聖教・文書を専門的に扱うことができる若手研究者の養成 リサーチ・アシスタント(RA)を2名採用し、調査・研究活動の補助を依頼するとともに、RAAは本研究課題に則した研究を進めている。また、勧修寺での調査には、大学院生などの協力を得ており、RA・院生にとっては原史料に接しつつ、調査技術を習得する貴重な場となっている。 以上、調査・研究活動は順調に進行しており、最終年度の成果報告にむけて、作業を進めていきたいと考える。
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