[2005年から2008年に出土した資料の研究]撮影済みの写真とハンドコピーをもとに予備段階あ音訳、翻訳、注釈をつける仕事を継続した。中期アッシリア時代粘土板の文献学的研究を促進するため柴田(研究協力者)が海外の専門図書館(ハイデルベルク大学)で作業した。 [2009年に新たに出土した文字資料の整理・解読]今年度のテル・タバン調査では、数十点(推定30点程度)の中期アッシリア時代粘土板、ならびに1点の古・中期バビロニア時代粘土板が出土した。また、記念碑文としては、7点の中期アッシリア時代の円筒碑文断片、2点の粘土製釘碑文断片、36点のレンガ碑文、ならびに1点の石板が発刊された。山田(研究代表者)と柴田(研究協力者)が、9月にテル・タバン遺跡の調査に参加し、これらの新たに出土した文字資料の整理、実測、撮影、ハンドコピー作成、解読を行った。 [研究成果の公表・研究の総括]古バビロニア時代ならびに中期アッシリア時代の資料のうち、研究課題として緊急性の高いものについて個別研究を行った。平成21年11月に東京とつくば市を行われた国際シンポジウムとワークショップにおいて、山田がテル・タバン出土古バビロニア時代文書のうち書簡3点の音訳と翻訳を発表し、古バビロニア時代のテル・タバン地域の歴史と社会について論じ、柴田が中期アッシリア時代粘土板に見られる歴史地理学的データについて発表した。また、平成22年3月には、パリにおいて、山田が2009年に新たに出土した上記の古・中期バビロニア時代に由来するヨシ縁組契約を記した粘土板について報告し、柴田が中期アッシリア時代のレンガ碑文に反映されたタバトゥム/タベトゥ市の王の系譜と宗教について発表した。 残った研究課題の整理を行い、次期研究計画をレポートとして作成した。
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