研究概要 |
本年度は当テーマの2年次として,資料の収集整理および公表に力点を置き,以下の項目を実施した。 a)現地調査は,四川盆地の唐代仏教関係遺跡と石経の調査を予定したが,先方との調整が整わず,次年にまわす。代わりに10月に西安碑林の石刻シンポジウムに出席し,研究報告と西安石刻状況の調査および中国各地の研究者との情報交換を行った。 b)『新版唐代墓誌所在総合目録』の「補遺版」作成するためのデータ集積を進め,3086点を増補した。うち新たに追加された墓誌・蓋は1789点あり,従来把捉の6828点とあわせ,総数8617点となった。 c)房山雲居寺石経の隋唐刻経については,『大般若経』の後半部分を除いて既存大蔵経との文字チェックが完了し,題記の照合もほぼ終了した。並行してこれと関連する曲陽八会寺石経の文字の録文化も終了し,太原風峪石経(華厳経)の拓本20点の整理も終えた。次年度に資料集と論文として報告する。 d)南北朝隋唐期の碑刻や墓誌の収集にも努め,唐代墓誌では約250点(ほとんどが未報告)を入手し,それらのデジタル化を進め,さらに録文を付して公刊する準備に入った。 e)新収資料の一端を明治大学博物館で,「唐代の石刻と文人文化」展として開催し,あわせて新出顔真卿関係墓誌,唐詩人韋応物新発見墓誌の2度のシンポジウムを開催した。なお,それら石刻資料データをウェブサイトで公表する準備を継続させている(次年度から実現する)。 e)石刻資料の整理では,「河洛墓刻拾零」などの目録作成,西安碑林編「隋代墓誌銘彙編附考」などの総チェックを進め,「大業雑記」とあわせ隋洛陽城坊の整理,階代地方長官一覧の把握を進めた。 f)研究メンバーそれぞれ多忙で,全員集まる機会は限られたが,相互の連絡は密にし,それぞれ個別に関連研究を進め,次年度の成果(シンポジウムと報告論文)の準備を進行させた。
|