研究課題
プロジェクト初年度の本年度は、7月に新潟で研究会を行い、今後の研究計画を立てるとともに、8月の調査の準備を行った。8月末、ヴィーン、ベルリンに調査旅行を行い、大きな成果を得た。9月の金沢での研究会ではその結果について総括するとともに、今後の研究について検討した。2007年6月に新潟大学を主催校とじて本西洋史学会を開催するが、そのメイン・シンポジウムを本プロジェクの研究の発表の場とすることになった。その準備のために、2月、3月に東京で研究会を行い、内容の検討を行った。シンポジウムのテーマは「国民国家とアイデンティティ複合-中欧における帝国、国民、民族」である。本年度の研究成果をふまえ、19世紀から20世紀中葉までの中欧における国民国家形成について、総合的に検討する。国民国家の歴史を考える上で、本年度の研究会でとくに議論され、6月の西洋史学会報告で検討したいと考えているのは、以下の点である。1)国民国家は19世紀にヨーロッパで先ず形成され、その後、20世紀は全世界をリードする理念になった。19世紀における国民国家は、かなりゆるやかなものであり、20世紀の国民国家とは異なる。「国民国家」を問題にする上で、19世紀と20世紀の相違をまず確認すべきである。2)国民国家は、戦争と深く関わりつつ、形成された。19世紀の国民国家は18世紀末から19世紀初頭にかけてのフランス革命とその後の解放戦争によって形成され、20世紀の国民国家は第一次世界大戦とその後のナチズムと第二次世界大戦によって形成された。3)ヨーロッパにおける国民国家の形成とは、実は多くの移民を非ヨーロッパに移住させ、そこに新たに国民国家を形成させる過程でもあった。中欧からアメリカ合衆国やイスラエルへの移民を含めて問題を検討したい。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (11件) 図書 (2件)
ピアノはいつピアノになったか?(伊東信宏編)(大阪大学出版会)
ページ: 1-28
芸術の始まる時、尽きる時(栗原 隆編)(東北大学出版会)
ページ: 147-177
人間文化研究所年報 2
ページ: 15-18
知と学びのヨーロッパ史-人文学・人文主義の歴史的展開(南川高志編)(ミネルヴァ書房)
ページ: 167-192
比較宗教思想研究 7
ページ: 47-84
世界史の研究 208
ページ: 37-40
北米の小さな博物館(北米エスニシティ研究会編)
ページ: 166-173
Mediterranean World (by the Mediterranean Studies Group, Hitotsubashi University) XVIII
ページ: 77-104
異界の交錯 下巻(細田あや子/渡辺和子編)(リトン)
ページ: 297-336
北米の小さな博物館(北米エスニシティ研究会編)(彩流社)
ページ: 206-213
大学で学ぶ西洋史[古代・中世](南川高志他編)
ページ: 14-23