研究課題/領域番号 |
18320126
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松木 武彦 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 助教授 (50238995)
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研究分担者 |
新納 泉 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (20172611)
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キーワード | 前方後円墳 / 巨大古墳 / 吉備 / 竪穴式石室 / 葬送儀礼 / 日韓交流 / 国家形成 / 古墳時代 |
研究概要 |
平成18年度は、主として吉備中枢域西部における古墳のデータ整理と、新たなデータを得るための発掘調査を行った。 まず、4月から8月にかけて、当該地域の盟主的首長墳といえる倉敷市真備町天狗山古墳出土品の整理を行い、巨大古墳形成過程における盟主的首長墳の墳丘構造・埴輪・副葬品の典型資料として、前後の時期の各ランクの諸古墳と比較検討できるデータを整えた。その後、天狗山古墳の周辺にある前後の時期の小古墳の位置を検討し、研究課題を解明するための踏査・発掘対象の絞り込みを行った。 9月以降は、上記の古墳のうちから、昨年までの調査によって、天狗山古墳に先行する小型前方後円墳である倉敷市真備町勝負砂古墳を対象の候補に上げていたのであるが、それを最終的に確定し、発掘調査の準備に入った。天狗山古墳との比較検討を行いながら勝負砂古墳の詳細な検討を行うなかで、この両古墳がともに埋葬施設の構築を墳丘の築造に先行させることや、天狗山古墳において朝鮮半島南西部産の陶質土器が出土していることから、当該地域の巨大古墳形成には朝鮮半島の強い影響が働いている可能性が明らかになった。その具体像を詳細に明らかにするため、朝鮮半島の5世紀代古墳の墳丘、埋葬施設の構造、副葬品についてのデータ収集と整理を行った。 勝負砂古墳の発掘調査は12月初旬から準備を始め、2月19日に着手した。3月初旬に未盗掘の竪穴式石室を検出し、石室内から横矧板鋲留短甲、馬具、鉾、鉄鏃、土器などの副葬品を発見した。合わせて、竪穴式石室を被覆する粘土、盛土の分層と施工単位の復元を行い、埋葬施設と墳丘の造営について朝鮮半島の墳墓と比較できるデータを得た。
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