本研究の目的は、瀬戸内・日本海に続く第3の交流ルートともいえる太平洋ルートをめぐる弥生・古墳時代の人・もの・情報の動きを考古学的に分析することにより、従来になかった地域視角から古墳時代の成立過程と地域関係を解明し、さらに日本古代史上における太平洋ルートの歴史的役割を実証的に提示することである。 具体的には日常の物資交換に代表されるような基盤的交流と地域間の勢力関係を含んだ政治的交流の二つのレベルにおいて資料を収集して分析を行い、とくに交流が政治的意味を増したと考えられる弥生後期から古墳時代における本ルートの役割を瀬戸内・日本海ルートと比較しつつ明らかにすること。以上が、本研究の概要である。 1 年目には古墳の発掘調査を含めた資料の収集を中心として行い、2 年目以降は資料収集を継続しつつ分析に比重を移す計画であった。
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