平成20年度は7回の研究会を行った。研究代表者の川村は大学院生を研究協力者として、韓国で植民地期の家族写真の資料収集および聞き取り調査を行い、また沖縄でも同様の調査を行った。2008年10月31日に、東北大学大学院文学研究科でシンボジュウム「写真と民俗」を開催し、本研究の締め括りとした。研究会での発表者・題名は以下の通りである。 第17回研究会(2008年4月1日)川村邦光「家族写真の現在とは」。第18回研究会(4月7日)・重信幸彦「遊撃の〈都市〉へ」。第19回研究会(5月26日)五十嵐恵邦(米国:バンダービルト大学歴史学部)「ジョー&飛雄馬:闘争の時代のヒーロー達」。第20回研究会(6月20日)崔仁宅(韓国:東亜大学校人文科学大学)「小浜島の家族・親族と民俗」。第21回研究会(7月18日)佐藤健二(東京大学大学院人文社会系研究科)「メディア論の視点:「絵はがき」と「新聞錦絵」を事例として」。第22回研究会(10月20日)長澤壮平(南山大学南山宗教文化研究所)「ありふれた身体経験に根ざす神事芸能」。第23回研究会(10月31日:東北大学)シンポジュウム「写真と民俗」川口葉子(大阪大学大学院)「クリスチャンの家族写真」、小田島建己(東北大学大学院)「写真が表わすもの:東北地方の宗教民俗」、石山詳子(大阪大学大学院)「被写体としての〈黒川能の里〉」、渡邊慎也(メディア史研究会会員)「非活字メディア史料保存の問題点」、司会:山田仁史(東北大学大学院)、コメント:木村敏明(東北大学大学院)。 以上の研究会を通じて、家族写真の歴史的な変遷を多角的な視点から明らかにすることができた点は大きな意義をもつと考える。研究成果報告書には9名の論文を掲載した。
|