研究課題/領域番号 |
18330002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 達夫 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (30114383)
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研究分担者 |
大屋 雄裕 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (00292813)
瀧川 裕英 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (50251434)
谷口 功一 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (00404947)
橋本 努 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (40281779)
桂木 隆夫 学習院大学, 法学部, 教授 (70138535)
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キーワード | 法哲学 / 基礎法学 / 立法学 / 法概念論 / 公共哲学 / 開発法学 / 法整備支援 |
研究概要 |
本年度の研究においては、立法学の哲学的基礎の探求の基礎となるべき作業の同定が行われた。我が国における立法学の既存文献の整理検討を通じて、概ね以下のようなものが、我々の研究対象となるべきものとして得られた。立法制度論(議会制度およびその運用)、立法政策原論(政策法学・法政策学)、立法原論(立法の法理学)である。立法制度論は憲法学などとも重なりうる分野であり、憲法学と法哲学の協働的作業によって具体的な制度に寄り添う形での研究が必要となる。この点に関しては既に準備を進め、平成19年度中に憲法学研究者との密接な共同研究を行っていくことが決定された。立法政策原論に関しては「法と経済学」など政策指針となるべき分野との協同が必要である。本年度においては、「法と経済学」を専門とする東京工業大学の宇佐美助教授を講師として招き、立法政策類型論について検討した。この過程に於いて、立法が持つ効果の複数性(再分配におけるスティグマタイゼイションを始めとする象徴的効果など)に注意を払う必要があることが確認された。立法政策に関しては、開発法学(特に我が国が法整備支援を行っている東アジア諸国)の観点からの議論も盛んになされた。本研究が一部先進国のみにしか適用できない狭隘なものにならないためには、開発独裁の一定側面の再評価、アメリカ型の司法偏重法整備支援の失敗の教訓、法体系の直接的移植の危険などが重要な意味を持つことが確認された。繰越期間に於いて、学術会議立法学分科会との共催によるシンポジウム「より良き立法はいかにして可能か:立法の実践・制度・哲学を再考する」を開催し、200人を数える出席を得た。立法理学的総論と、刑法や労働法など各法分野に於ける立法の基本理念などについて活発な討議が行われた。本シンポジウムについては、ジュリスト2007年12月15日号に、研究代表者である井上達夫による、シンポジウムの総括を行う記事が掲載される運びである。
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