研究課題
本年度の研究に於いては、(1)関連領域専門家を招いた情報収集と理論的共同討議を継続するとともに、(2)過去二年間の研究蓄積を踏まえた上での立法学の新たな課題の析出と指針探索に総括的に取り組んだ。(1)については、租税法分野から藤谷武史北海道大学准教授を招き、財政規律に関する議会の役割の可能性と困難について議論がなされ、立法技術論に及ぶ検討がなされた。また、Steven R.Reed中央大学教授を講師として招き、政治学分野との共同討議を遂行した。非現実的な理想的規範論を論じることに対する根本的'な懐疑が提出され、規範理論の役割についての原理的検討がなされるとともに、昨今の政治動向を素材として、立法産出システムとしての国会のあり方についての集中的討議がなされた。さらに、宍戸常寿一橋大学准教授を講師として憲法学の立場から見た立法学の動向について議論を行った。近年の立法産出能力の低下とも言うべき問題状況の整理と、その解決としての統治機構の再編を巡って、国民内閣制論の是非等を含めて幅広く議論が行われ、立法作用を広範な問題設定の中に位置づけるべきζとが論じられた。(2)については、日本学術会議立法学分科会との共催による立法学シンポジウムでの報告を元に、井上、谷口がジュリストの立法学特集にて論考を発表した。また、大屋が昨今のねじれ国会状況を素材として、立法産出システムとしての議会の質的保障に関わる原理的考察を、立法学国際雑誌Legisprudenceに寄稿した。また瀧川が応答責任論の視角から、刑事における立法動向として被害者参加制度を取り上げ、それが個々のアクターの陶冶に資する点を指摘する論考を執筆した。その他の連携研究者も今年度の研究成果を踏まえっつ、各々の研究課題について成果報告書を作成し、問題の整理と議論の取りまとめを行った
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (5件)
Legisprudence: International Journal for the Study of Legislation Vol.2,No.3
ページ: 253-269
ジュリスト No.1356
ページ: 120-148
ジュリスト No1369
ページ: 8-10
ページ: 39-44
法学セミナー Vol.53-9
ページ: 22-25