研究課題/領域番号 |
18330005
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
亘理 格 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (30125695)
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研究分担者 |
大貫 裕之 中央大学, 大学院・法務研究科, 教授 (10169021)
山下 龍一 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60239994)
徳田 博人 琉球大学, 大学院・法務研究科, 教授 (50242798)
米丸 恒治 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00202408)
豊島 明子 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (10293680)
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キーワード | 福祉 / 安全 / 市場化 / 契約化 / サービス利用者 / 近隣警察 / 食の安全 / 遺伝子組換作物 |
研究概要 |
「福祉」については、市場化・営利化・契約化を軸とした福祉法制の変容は、利用者にとって権利保障過程の細分化をもたらすとともに、情報提供や苦情処理の面では権利保障の精緻化をもたらしていること、しかし権利保障過程の細分化は、サービス利用者の権利保障の全過程を把握する行政の役割を希薄化させ、多数の並存した契約制度を前にして主体的に契約を選択しサービス利用を行うことが困難な状況にある者や民間事業者の事業撤退により取り残される要介護高齢者等のように、権利保障過程の谷間に陥るおそれのある利用者を生じさせることが明らかとなった。また、郵便や電気通信事業等の生活必需サービスにおける競争政策と民営化が急激に進む中で、利用者へのユニバーサルサービス保障を生存権保障その他の憲法論の中に位置づける必要性が明らかとなった。 「安全」との関係では、身近な地域的安全が先進国共通の課題として認識され、フランスでも、試行錯誤を重ねつつ地域安全契約や近隣警察への取り組みが始まっていることが明らかとなった。また食品の安全については遺伝子組換作物を検討した。その結果、日米における遺伝子組換作物の安全性認定は、「組換え技術そのものには新たなリスクは存在しない」という認識の下、組換え前の既存種に存在していた要素については安全であることを前提に、組み換え作物と既存種とが全体として食品としての同等性を失っていなければ安全と認定するという「実質的同等性の原則」に従って行われていることが明らかとなった。他方、北海道では、「食の安全・安心条例」17条の規定を受けた実施条例という形で、「遺伝子組換作物の栽培等による交雑等の防止に関する条例」が制定され、遺伝子組換作物の一般作物への混入防止のための許可制・届出制を軸にした独自の規制制度が設けられていることが明らかとなった。
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