研究課題/領域番号 |
18330005
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
亘理 格 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (30125695)
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研究分担者 |
大貫 裕之 中央大学, 大学院・法務研究科, 教授 (10169021)
山下 龍一 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60239994)
米丸 恒治 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00202408)
前田 雅子 関西学院大学, 法学部, 教授 (90248196)
豊島 明子 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (10293680)
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キーワード | 福祉 / 安全 / 参加 / 福祉国家 / 公私協働 / 公役務利用者 / 透明性 / 争訟可能性 |
研究概要 |
福祉国家の再構成は、国家と社会の関係について従来型福祉国家が前提としていた「社会の守護者としての国家」とは異なった国家像に立脚すべきであるとの知見が得られた。福祉と安全いずれについても、公私協働を通して民間主体の経営手法や専門情報を活用する必要がある一方、三面的法関係の一角を占める公役務利用者の権利保障を強化する必要がある。かかる2つの要請を踏まえた国家像は、必然的に、公私の関係を専ら垂直的なものからより水平的なものへ捉え直すと同時に、三面的法関係の各局面において「透明性」と「争訟可能性」の保障を最大限組み込んだものでなければならないとの知見も得られた。福祉について見ると、供給主体や事後救済における責任主体としての行政の役割は縮小する一方、福祉市場に対する規制主体としての行政の比重はむしろ強化されるという実態が明らかとなった。かかる「民営化と再規制の同時進行」現象が場当たり的な規制強化に陥らないためには、利用者の権利保障を組み込んだ新たな福祉国家像の確立が不可欠であることが明らかとなった。食品安全については、ほとんどの安全基準が省令や告示等の形式で定められるため、かかる行政立法に対する司法統制を強化する必要があり、この点で日本法の現状は欧米と比較して不十分であることが明らかになった。消費者保護全般に視野を拡げると、立法の前段階から執行過程までの消費者保護のためのリスク管理システムの確立が喫緊の課題であり、それを支える人的・組織法的な整備が必要不可欠であることも明らかとなった。さらに、以上いずれの分野においても、2004年行訴法改正により豊かなメニューを具備することとなった訴訟類型を効果的に使いこなすための理論的前提として、行政過程と裁判過程の機能的連携という視点から訴訟法理論を再構成する必要があるとの新たな問題意識が得られた。
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