1 本研究は、近年、公的医療保険、生活保護および社会福祉(介護保険を含む)の各領域で相次いで行われている制度改革を取り上げ、その中でも、社会保障の領域で従前にも増して重要性が大きくなりつつある地方公共団体(および地方レベルの公法人等)に焦点を当てて、上記の社会保障の各領域に関する地方公共団体等の役割とその変容を分析し、地方公共団体等の社会保障に関する役割の構築について、法的に見て合理的といいうる方向性を模索しようとするものである。2 本研究の柱のドイツ、フランス両国の公的医療保険法制、公的扶助法制および社会福祉法制(高齢者の介護サービスを含む)について、その沿革・動向や近年を中心とした制度改革に関するわが国の既存の業績(図書、雑誌論文、各種資料)および前記両国の文献・資料を収集した。また、近年のわが国の公的医療保険法制、生活保護法制および社会福祉法制の政策・法制度の動きを跡づけるために、これらに関する図書・論文・資料等の収集作業を行った。3 ドイツ・フランス両国について現地での調査・資料収集を実施した。ドイツについては太田(研究分担者)が、フランスについては笠木(研究分担者)が、資料収集および行政担当者、研究者等との面談を行った。4 収集した国内外の文献・資料などの整理、その一部のデジタル・データ化を行った。5 地方公共団体(九州地方の1つの県、および市)を訪問し、公的医療保険、介護保険、医療制度等に関する県の取り組み状況や、生活保護、とりわけ自立支援プログラムに関する市の対応状況について、聞き取り調査をし、あわせて資料を収集した。5 地方分権化や社会福祉の領域での市町村の役割の拡大など、地方公共団体等の上記各領域に関わる役割の変容の問題に焦点を当てて検討を行い、岩村(研究代表者)および笠木(研究分担者)が論文を執筆・公表した(後掲)。
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