研究課題/領域番号 |
18330011
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
濱田 冨士郎 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10030628)
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研究分担者 |
大内 伸哉 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10283855)
関根 由紀 神戸大学, 法学研究科, 助教授 (60379493)
櫻庭 涼子 神戸大学, 法学研究科, 助教授 (20362808)
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キーワード | 高齢者 / 雇用政策 / 年齢差別禁止 |
研究概要 |
本年度は日本及び研究対象国に関する広範な資料収集、及び対象国において研究機関、社会保障・雇用政策担当の行政機関を訪問し、中高齢者の雇用政策及び年齢差別禁止法制の実施状況・効果につき、ベルギー・フランス・イギリスでヒアリングを行った。 欧州諸国では、2000年に採択されたEC指令(2000/78/EC)に基づき既にそれぞれ2006年までに国内で年齢差別禁止法を制定しているが、その実施・効果については必ずしも評価はなされていない。また、EC指令採択の背景となった少子化・高齢化に伴う社会保障制度の財政上の懸念が認められる一方で、若年者失業が深刻であり、政策決定上重要な影響力を持つ労使・国民が中高齢者の問題に対し比較的関心が薄いという状況が明らかとなった。 年齢差別禁止法制の有用性の面では、立証が困難であるなど(よほど明確な差別でなければ殆ど立証は難しいとされる)、直接的な差別抑止効果は現時点で期待できないが、性別による差別と同様に、労使・国民の意識の上で年齢差別が不当であることを浸透させることが必要であり、その意味で効果的、と指摘された。特にベルギー・フランス・イギリスにおいては、テレビや新聞などを利用した中高齢者の活力と雇用価値に関する大規模なキャンペーンを行い(ベルギーでは諸外国のキャンペーン効果について調査を行っている)、意識改革に力を注いでおり、年齢差別禁止法制をその一要素と捉えている 社会保障制度上は、年金受給要件の改正から早期退職を助長する措置を撤廃するなど、「早期退職文化」の転換を図っており、雇用促進措置として効果的と見られる中高齢者の雇用に関する社会的コスト(社会保険料等)の軽減措置も注目されていることが分かった。
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