研究課題/領域番号 |
18330013
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大塚 裕史 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40304290)
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研究分担者 |
上嶌 一高 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40184923)
宇藤 崇 神戸大学, 法学研究科, 教授 (30252943)
橋爪 隆 神戸大学, 法学研究科, 教授 (70251436)
嶋矢 貴之 神戸大学, 法学研究科, 助教授 (80359869)
池田 公博 神戸大学, 法学研究科, 助教授 (70302643)
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キーワード | 海上交通犯罪 / 過失犯 / 捜査共助 / 違法収集証拠 / 証拠の許容性 |
研究概要 |
本年度は、国際犯罪(海上犯罪、マネーロンダリング、国際汚職等)の犯罪情勢に関する調査、わが国での関連法規や実務の調査を行った。実体法・訴訟法につき、特記すべき具体的研究活動は下記の通りである。 実体法については、わが国海域での海上交通犯罪につき、実態を踏まえた上で、政策的要請や現行法規の解釈を行い、後掲業績の公表が得られた。これにより、既存の業績(大塚裕史「刑法の域外適用について」刑法雑誌43巻1号(2003)と後掲業績を組み合わせることにより、海上交通における国際犯罪について、その適用問題、実体法上の問題を併せて解決可能なこととなる。 より具体的には、(1)船舶海上事故の特徴を明らかにし、海上法規上の義務違反を過失実行行為とし海上衝突予防法の適用航法に関する解釈を行い、(2)過失実行行為につき、実質的な危険性と理解し、回避可能手段が残る時点では、なお実行行為とは言えないとの見解を明らかにし、(3)信頼の原則の適用につき具体的予見可能性の有無によることを判例の検討を行い明らかにした。以上により、刑事処罰の基本原理の一つである、過失犯処罰につき、船舶衝突という特定の状況を想定した議論を展開することにより、国際化の局面の一つに対応する検証を行った。 また、訴訟法分野では、代表者、分担者が主催する神戸大学判例刑事法研究会において、榎本雅記(名城大学助教授)より「国際捜査共助の要請に基づき、中華人民共和国において、同国の捜査機関が作成した共犯者の供述調書等の証拠能力」に関する報告を受け、最新の判例を題材として、違法収集証拠・証拠の許容性という刑事訴訟法上の基本原則と国際化時代の対応の調整という観点も含め、実務家(裁判官)と共同で研究を行い、既存の最高裁判例との関係の不明確性や、日本の刑訴法の理念に引きなおして利用の可否を決めるべきとの認識を共有した。
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