研究課題
本年度は、まず、敵対的企業買収を取り巻く法的・経済的環境の再検討を行った。敵対的企業買収は、企業リストラクチャリングを促進する触媒として機能する。したがって、敵対的企業買収の活性化の程度は、企業リストラクチャリングの数や内容に大きな影響を与える。これまでの研究では、いわゆるポイズン・ピルが主たる対象とされてきた。これに対して、本研究は、買収防衛策としての株式持合を対象として、実証研究を行った。その結果は、胥鵬によって公表されるに至った。胥論文では、株式持合比率が高いほどポイズン・ピルを導入する傾向にあること、企業評価や経営業績に対するポイズン・ピルの頑健な効果は見出せないことが明らかにされた。すなわち、日本においては、敵対的企業買収の活性化の程度は、ポイズン・ピルよりも株式持合と密接な関係があることが示された。また、以上の研究と並行して、会社法研究に広く実証研究を導入する試みがなされた。その成果は、田中亘によって公表されるに至った。また、昨今.重要な裁判例が頻出している、企業のリストラクチャリングに反対する株主の株式買取請求権を具体的な題材として、具体的な法制度の検討を行った。この問題について、研究分担者・連携研究者となっている法律学者・経済学者が集まり、理論面と実証面の双方にわたり、複数回にわたって検討が行われた。その成果は、研究分担者である田中亘と加藤貴仁によって、公表されるに至った。田中論文では、株式買取請求権の買取価格である「公正な価格」の具体的な算定方法が、企業のリストラクチャリングが実施される具体的な状況に応じて、理論的に検討されている。加藤論文では、実際の裁判例を題材にして、田中論文で明らかにされた「公正な価格」の算定方法を裁判所が採用する際の方法について検討されている。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (6件)
法学教室 350号
ページ: 61-71
旬刊『商事法務』 1874号
ページ: 5-14
旬刊『商事法務』 1885号
ページ: 4-18
旬刊『商事法務』 1875号
ページ: 4-9
旬刊『商事法務』 1876号
ページ: 4-19
旬刊『商事法務』 1877号
ページ: 24-31