研究分担者 |
久保 文明 東京大学, 大学院・法学政治研究科, 教授 (00126046)
中山 俊宏 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (60439560)
細野 豊樹 共立女子大学, 国際学部, 准教授 (10272478)
待鳥 聡史 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40283709)
岡山 裕 慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (70272408)
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研究概要 |
2007年には前年の中間選挙では民主党が連邦議会の上下画院の多数派を占めた結果,分割政府状態が生じ,翌年の大統領選拳に向けた候補著の鞘当てが進んだ。現ブッシュ政権の展開をイデオロギー政治の観点から総括しようとする本研究計画も,こうした目前の政治的展開を視野に入れつつ,それを長期的なアメリカ政治の構造変動に位置づけることを心がけつつ分析を進めた。こうしたねらいから,本年度は各自がそれぞれの担当分野について研究を進める以外に,3つの重点テーマを設定し,必要に応じて研究分担者以外の研究者にも報告を依頼して,約2ヶ月に一度のペ-スで研究会を開催して議論を行った。第一はイデオロギーの多様性であり,保守対リベラルという単純な二項対立で語られがちなアメリカのイデオロギー状況について,リバタリアニズムや多文化主義といった,それらに解消,吸収されにくい思潮をどう位置づけるかを検討した。 第二は,イデオロギー政治を支える政治的インフラストラクチャーへの理解である。リベラルと保守の勢力図は選挙結果という短期に変化する要素のみで決定づけられるものではなく,次世代を担う政治指導者の育成や,任期が長期にわたる連邦レベル裁判所の裁判官人事といったより長期的な要因にも大きく左右される。とくに保守勢力がこの点で組織的な努力を行っていることが,現地調査も含めた分析によって明らかになった。また第三に,政策形成について,現代アメリカでは政治家や官僚ではなくそれぞれの分野の専門家が大きな役割を果たすことに鑑みて,専門家が登用される行政委員会制度や専門家集団が利益団体を構成するような事例について,彼らの専門性を元にしだ政策的主張がイデオロギー対立とどのように連関するのか,しないのかが検討された。以上,次年度の成果のとりまとめに向けて,有意義な議論,分析を進められたと考えられる。
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