研究課題
本研究の目的は、「民主化」という東アジア諸国に共通している大きな政治的変動の潮流の下で、開発独裁や権威主義体制下での経済政策決定過程、その過程における経済テクノクラートの役割がどのように変容したのかについて検討することにあった。特に、民主化の進展に伴い、政党、政治家の多様化と擡頭の他、経済団体などが新たなアクターとして進出することが仮説としてたてられた。歴史的に鑑みると、東西冷戦下での経済援助競争の下で、東アジア諸国は経済計画を策定し、その経済計画を策定する中央経済官僚がそれぞれ大きな役割を担ってきた。韓国の経済企画院、タイの国家経済計画局、マレーシアの経済企画局などがそれである。本研究実行中に、東アジア諸国、特にタイ、マレーシアにおいては大きな政治変動が生じ、政権交代が見られた。この結果、従来の経済計画局という制度上の極に替わり、首相とその首相を支える経済アドバイザーにその権力が集中する傾向が見られたことなどが明らかになった。また、フィリピンを中心に経済官僚に関する聞き取りが進められ、従来の経済テクノクラート像とは異なる新しい役割の一端が明らかになった。本研究の意義は、各国にいて経済政策の決定過程が明らかになったことに加え、経済テクノクラート個人レベルにおける社会的背景や昇進のパターンなどがデータから明らかにされたことである。
すべて 2008
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学術の動向 13
ページ: 67-71
外交フォーラム 21
ページ: 46-47
ページ: 60-63