研究課題/領域番号 |
18330031
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
広瀬 崇子 専修大学, 法学部, 教授 (20119431)
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研究分担者 |
伊藤 融 島根大学, 法文学部, 准教授 (50403465)
小槻 文洋 神戸夙川学院大学, 観光文化学部, 准教授 (70454783)
南埜 猛 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (20273815)
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キーワード | ディアスポラ / エスニック紛争 / パンジャーブ紛争 / カシミール / タミル人 |
研究概要 |
本年度は、07年8月に広瀬、伊藤がイギリス(ロンドン、ブラッドフォード、バーミンガム、マンチェスター)で、カシミール系移民およびシク教徒の移民への聞き取り調査を行った。また08年2月〜3月には広瀬、小槻がアメリカ、カナダ(ニューヨーク、トロント)の現地調査を行った。また、合計5回の研究会を行い、研究枠組み、資料収集の方法および収集した資料の評価を行った。1年間の調査・研究の結果明らかになったことは以下のとおりである。 1.エスニック集団に関して (1)海外に住むエスニック・コミュニティの多くは、特定地域にまとまって住み、宗教施設などを基盤として、共同体意識を依然として強く保持しており、そこから来る安心感を享受している。 (2)しかし、政治的には決して一枚岩ではなく、それぞれが置かれた立場によって政治的姿勢は大きく異なる。 (3)イギリスの政界にすでに進出したり、その野望を持っている人間は、第一義的にはイギリス政治に関心があり、自らの選挙民の支持をどう集めるかが最大の関心事で、カシミールやパンジャーブ問題は二の次になる。 (4)一つのエスニック・コミュニティの中でも階級格差がかなり顕著になってきており、それが統一行動をより困難にしている。 (5)ディアスポラにとって重要なのは基本的にはホスト国での自らの生活であり、本国のエスニック紛争への関与は限定的なものである。 2.ホスト国の政策の相違が与える影響 (1)ホスト国の政策は大きく異なっている。カナダは多文化主義がかなり徹底しているが、イギリスは放任主義が見直されようとしている。アメリカは移民にとってはより厳しい状況である。 (2)こうした状況の差は移民の態度を大きく変えることになる。その相関関係を分析する必要がある。
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