研究課題/領域番号 |
18330035
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松島 斉 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00209545)
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研究分担者 |
神谷 和也 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50201439)
岡崎 哲二 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90183029)
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キーワード | 経済理論 / 経済史 / メカニズムデザイン / マーケット・マイクロストラクチャー / 実験経済学 |
研究概要 |
松島は、論文「Behavioral Aspects of Arbitrageurs in Timing Games of Bubbles and Crashes」(東京大学Discussion Paper CIRJE-F-606)、および「Implementation and Social Innuence」(東京大学Discussion Paper CIRJE-F-598)を新たに完成させた。前者は、金融危機の発端となる証券市場バブルとクラッシュの理論的基礎を、ゲーム理論によって説明したものであり、合理的な裁定取引者がバブルに乗じるインセンティブについてTractableなモデルのたたき台を示した。後者は社会的影響と総称される社会心理的要因が、経済配分メカニズムに利用できる可能性と限界をしめすゲーム理論である。これは合意形成の仕方についての行動経済学視点に新たに貢献する内容である。従来の関連分野の研究は、金銭的、物質的利益の追求にだけ焦点をしばってきたが、松島の基盤研究Bでの研究は、個人が社会的影響によって行動選択することを明示的にとりいれる新しい試みである。平成20年度では、この研究を大きく推し進めた。松島は、前年度から継続して、不完全モニタリングでの繰り返しゲームの実験経済学研究(八木伸行、遠山智久との共著)、および不確実性投資をともなう最後通牒ゲームの実験経済学研究(島俊彦との共著)を研究した。追加のパイロット実験などをおこなったしかしさらに追加実験を必要とする。よって、両方とも論文の完成にはもう少し時間が必要である。次年度以降の科研研究に引き継ぐ予定である。神谷は、一般的な市場モデルの性質を予想するためのシミュレーション分析を継続し、論文の作成を進めた。岡崎は、日本の株式市場の長期データの整備を進め、マーケット・マイクロストラクチャーについての歴史的考察を進めた。
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