研究課題/領域番号 |
18330036
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
蓼沼 宏一 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50227112)
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研究分担者 |
鈴村 興太郎 一橋大学, 経済研究所, 教授 (00017550)
篠塚 友一 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (40235552)
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キーワード | 重複世代経済 / 世代間分配問題 / 衡平性 / 効率性 / 評価基準の辞書式結合 / 合理的選択 / 選択の整合性 / 無限効用流列 |
研究概要 |
現代社会においては、年金問題をはじめとして、世代間でどのように資源を配分すべきなのかという問題が重要になっている。本研究の目的は、衡平性と効率性の観点から社会的に望ましい世代間資源配分とは何かを解明し、世代間分配問題に対する基本的評価基準を与えることである。平成19年度においては、以下のような研究成果を挙げた。 1.各世代の社会厚生の値からなる無限効用流列の望ましさを評価する基準を構成する試みとして、ある有限の将来までの効用流列に対してはレキシミン原理による比較を行い、その先の無限流列に対してはパレート準順序を適用する方法を開発し、公理主義的に特徴付けた。 2.世代間分配問題の顕著な特徴は、時代によって入手可能な財が異なることである。本研究では、各時代で入手可能な財に対する個人の選好のみに基づいて世代間資源配分の社会的順序を構成することが可能であるか否かを理論的に検証し、可能なケースと不可能なケースを完全に分離することに成功した。 3.衡平性と効率性のように、2つの異なる規範的な評価基準が相対立するケースは現実の社会でしばしば生じる。これに対する解決策の一つは、評価基準に優先順位をつけ、辞書式に適用することである。本研究では、辞書式適用法として、二項関係を構成してからその最適値を選択する方法と、各基準の最適値を逐次選択するという方法を考え、それぞれの方法による選択が非空であるための条件を示すとともに、2つの方法の間の論理的な関係を明らかにした。さらに、縮小整合性、径路独立性といった選択の整合性条件を満たすための必要十分条件を解明した。
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