ブリテンからアメリカへの歴史的な覇権の移動を見据えつつ、経済思想に焦点をあて、ブリテンの「帝国デザイン」の内容と歴史的特質を明らかにし、アメリカの「帝国デザイン」と比較し、ブリテン帝国からアメリカ帝国に至る覇権移行の経済思想の意義を明確にする。そのためにいわゆる商主義期(旧帝国主義)における「ブリテン」の「国民」経済と貿易ネットワーク経済の統合された「帝国デザイン」、19世紀始めの自由貿易帝国主義期の国民経済と国際自由貿易の統合された「帝国ビジョン」、19世紀末から大戦期にかけての拡大帝国再統合の「帝国デザイン」、帝国維持の費用と効果(財政・租税)の制度設計、国際的な覇権移行の経済思想を解明する。本プロジェクトは経済基盤を拡大させながら国際的な勢力均衡に直面した国(ブリテンとアメリカ)が、「帝国」を維持すべく統治形態と変容させ、国民的な統合を図る場合の経済思想(帝国のデザイン)を研究対象の焦点としている。その場合新たな視点は1、国民経済と帝国の「経済ビジョン」(帝国像 : 帝国デザイン)における統合、2、「帝国デザイン」における帝国維持の財政設計の焦点化、3、ブリテンにおける「帝国デザイン」の連続性と変容の解明、4、ブリテンからアメリカ(サブ・ブリテン)への覇権移行の焦点化の4点である。
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