研究課題/領域番号 |
18330041
|
研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
前川 功一 広島経済大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20033748)
|
研究分担者 |
得津 康義 広島経済大学, 経済学部, 講師 (30412282)
森本 孝之 一橋大学, 経済学研究科, 講師 (80402543)
河合 研一 広島経済大学, 情報・システム研究機構, 研究員 (50425831)
|
キーワード | 高頻度データ / 長期記憶性 / Realized Volatility / ARFIMAモデル / ウェーブレット |
研究概要 |
本年度は、前年度に引き続き高頻度データを利用して以下の研究を行った。 1.18,19年度に購入した為替と株価の高頻度データを研究目的に合わせてデータベース化した。 2.金融時系列データにおけるボラティリティの推定及びその長期記憶性に関する研究。これはボラティリティ変動モデルとして、従来から利用されてきたGARCHモデルにおけるボラティリティの持続性と高頻度データから計算されるRealized Volatilityの長期記憶性どの関連性について実証的な研究を行った。また、GARCHモデルが非定常領域に近い場合(IGARCHに近い場合)、長期記憶系列との判別が困難になることをシミュレーションによって示した。さらに理論モデルによる説明を検討した。 3.長期記憶性を持つ時系列を定式化するモデルの一つであるARFIMAモデルに関する推定手法の比較を行った。ARFIMAモデルの推定手法としてよく用いられるGPH、最尤法、非線形最小二乗法をシミュレーション分析によって比較した。その結果は以下の2点である。(1)ウェーブレット分散による方法は下方バイアスがあり、定常領域で顕著である。(2)最尤法は他の手法に比べて推定値の平均が真の値に近く、標準偏差も小さいが、非定常領域では標準偏差が大きくなる傾向がある。ウェーブレットを用いた手法は、下方バイアスがあるが他の方法に比べて圧倒的に計算時間が速いため、バイアス修正が可能であるならば強力な推定方法になる可能性があることが確認された。 4.東証一部上場銘柄の個別株価時系列を用い、網羅的に調べた結果、ほとんどすべての銘柄において長期記憶性が観察された。
|