研究概要 |
本年度は、前年度に引き続き高頻度データを利用して以下の研究を行った。 (1)18,19,20年度に購入した為替と株価の高頻度データを研究目的に合わせてデータベース化した。 (2)高頻度為替データから計算されるRealized Volatilityの長期記憶性を示すパラメーターと金融危機との関連性について実証的な研究であり、さらに、ボラティリティ変動の非対称性に関しても検討を行った。K.Maekawa,Lu Xinhong(2009)によって、1.高頻度為替データを用いて計算されたRealized Volatilityは長期記憶性を有し、非対称性が存在する、2.ARFIMAモデルにおける長期記憶性を示すパラメーターと金融危機のショックの大きさはかなり関連している、3.期間を変化させながら長期記憶性を示すパラメーターを推定すると期間毎に推定されたパラメーターはかなり異なることが公表されている。 (3)Realized Volatilityの時系列構造に関する研究。Realized VolatilityにARFIMAモデルを当てはめて長期記憶性を示すパラメーターを推定すると推定されたパラメーターからに長期記憶性が検出される。しかし、この結果は想定誤差による見せかけの長期記憶の可能性とも考えられる。そこでARFIMAモデルに情報流入の代理変数として1日の約定回数を外生変数に導入して推定を行った。この場合、東証一部上場の個別株価時系列の長期記憶性を示すパラメーターの平均値は有意に低下するという結果が得られ、得津(2009)によって公表された。 (4)Integrated Volatilityの一つ推定量としてRealized Volatilityが考えられるが、そのほかにもフーリエ推定量、ウェーブレット推定量など様々な推定量が存在する。どういった場合にどの推定量が有効であるかについても検討を行った。
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