研究概要 |
国勢調査,事業所統計調査のメッシュデータ及び町丁目データの整備を行い,GIS(地理情報システム)を用いて,これらのデータを空間データ基盤に重ね合わせる作業を行った.整備したデータは,国勢調査小地域集計(町丁目)の通勤通学データと事業所統計小地域集計(町丁目)の産業大分類,従業者規模,事業所形態等である.この作業は北海道と四国を除いて,ほぼ完成している. 家賃と地価のデータを用いて消費面における集積の経済を推定した.不動産価格は立地点によって大きく異なるので,どの地点の価格をとるかによって集積の経済の推定結果が大きく異なる.先行研究では商業地の平均地価を用いているが,大都市圏の商業地価は極めて高いのでバイアスが発生している可能性がある.本研究では,市町村別通勤時間のデータを用いることによってこの点の修正を行うというアプローチをとる.昨年度の研究では,均衡条件の推定上の処理に問題があったので,この点を改善した推定手法を開発した.この研究は,2006年11月にトロント市で開催された北アメリカ地域科学学会(North-American Regional Science Conference)で報告した. その他の研究実績は以下の通りである. 空間経済学の研究成果を生かしながら、地域特化と都市ヒエラルキー,交通技術と都市集積,店舗間の空間的競争など,都市集積の様々な側面に関する理論的分析を行った. 郊外店舗出店規制等の政策代替案を評価するためには,ロジットモデルを用いる手法が有望である.ロジット型モデルを費用便益分析において用いることの理論的基礎を研究し,パラメータの推定等において評価結果のバイアスを避けるためにはどうすればよいかを検討した. 通勤における公共交通と自家用車の分担に関する実証的研究をアメリカの都市について行った.
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