研究課題/領域番号 |
18330052
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
田中 素香 中央大学, 経済学部, 教授 (20094708)
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研究分担者 |
岩田 健治 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50261483)
星野 郁 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (30199476)
高屋 定美 関西大学, 商学部, 教授 (60236362)
細矢 浩志 弘前大学, 人文学部, 准教授 (10229198)
斎藤 智美 名城大学, 経済学部, 准教授 (00292194)
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キーワード | ユーロ / ユーロ金融政策 / 共通通貨 / 実質金利 / 実質為替相場 / バランスシート不況 / EUの東方拡大 / 地域的基軸通貨 |
研究概要 |
ユーロ流通領域(以下ユーロ域)において、2002年から05年の経済停滞期において、低成長国と順調な成長国とが分裂傾向を示した。成長率の高い国は物価上昇率が高く、低成長国では物価上昇率も低かった。ECB(欧州中央銀行)の単一金利の下では、実質金利も乖離する。それは高成長と低成長それぞれを強化するように作用し、悪循環となるので、通貨同盟やユーロの持続性に疑問が生じる。本研究は、ユーロ域の現実の経済過程を踏まえて、論理を再検討し、評価を下すことを目的とする。 平成19年度の研究成果の概要は以下のようなものである。1.高成長国(高物価上昇率国)と低成長国(低物価上昇率国)の分離は自己強化的な面もあるが、ユーロ域参加国の実質為替相場を考慮すると、高物価上昇率国では実質為替相場が上昇して競争力を喪失し、低物価上昇率国では実質為替相場が低下して競争力が強まるので、分離は悪循環になってどこまでも拡大することにはならない(余りに高い物価上昇率は貿易収支の赤字を通じて掬制作用をもつ)、2.ユーロ金融政策を巡る参加国の物価上昇率の乖離は共通通貨ユーロに固有の問題であるが、対立が生じるのは不況期であり、景気循環を通じて観察すると、物価上昇率の高い周辺諸国の実質金利を引き下げ成長を刺激する効果がある(これはキャッチアップを促すので通貨同盟の安定にプラスに作用する)、3.21世紀初頭の経済停滞期の乖離が重視されたが、問題の顕在化した02/03年にほコア諸国(ドイツなど)はバランスシート不況に陥っておりがあり、特殊な状況であった。4.ユーロは東欧の基軸通貨として有用性が高いので、評価は総合的でなければならない。 平成20年度には最終的な評価を下し、著書を刊行する予定である。
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