研究課題/領域番号 |
18330052
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
田中 素香 中央大学, 経済学部, 教授 (20094708)
|
研究分担者 |
岩田 健治 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50261483)
星野 郁 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (30199476)
高屋 定美 関西大学, 商学部, 教授 (60236362)
細矢 浩志 弘前大学, 人文学部, 准教授 (10229198)
斎藤 智美 名城大学, 経済学部, 准教授 (00292194)
|
キーワード | ユーロ / ユーロ金融政策 / 共通通貨 / 実質金利 / 実質為替相場 / 世界金融・経済危機 / EU東欧諸国 / 地域的基軸通貨 |
研究概要 |
本研究は、ユーロ流通領域において21世紀初頭に顕在化した国・グループごとのマクロ経済の分裂傾向を分析し、ユーロの持続性を検証することを目的とする。平成20年度には、特徴的な様相を示している諸国において実態調査を行い、また研究グループの研究合宿において報告と意見の交換を行った。単一のユーロ政策金利がユーロ参加国の物価上昇率の乖離によって相異なる実質金利をもたらす点が、分裂傾向の基礎となっている。通常の景気循環においては、物価上昇率の高い周辺諸国でバブル形成効果が現れるが、他方で物価上昇率の低い国で輸出競争力が高まり、物価上昇率の高い国に貿易収支赤字を通じて抑制作用を発揮し、一定の均衡作用を想定できる。現実には、そのような抑制作用が生じる前に、スペインなどで不動産バブルが発生したため、現地実態調査でその検討を深めた。またアメリカにおいてユーロの分裂傾向がどのように評価されているかについても実態調査を行った。しかし08年には世界金融・経済危機が顕在化し、ユーロ域経済の分裂問題は新次元に入った。 第1に高物価上昇率国の長期金利がベンチマークであるドイツ国債利回りを大きく上回る形の分裂傾向の顕在化、第2に東欧のEU新加盟国の深刻な不況がユーロ域経済の分裂傾向に及ぼす影響である。21世紀初頭よりも現時点の方がユーロ域経済の分裂の度合いは高く、一部にユーロ離脱国が現れるとの予想も出ている。この点について、通貨・金融を担当する代表者と分担者二人の計三名で、2度に渡って研究会を開催し、成果を雑誌論文として発表した。また3年間の研究成果は09年夏に著書として公表する予定で準備を進めている。
|