3年計画の2年目にあたる平成19年度は、生活保護受給母子世帯の就労・生活条件の変化を長期継続的に把握し分析するための作業として、A自治体の協力を得ながら以下の諸点に取り組んだ。 第一に、初年度に着手した本研究の分析資料となるデータ入力を継続し、データベースを精査する段階まで完成させた。平成17年度中に生活保護が廃止された全世帯のデータセットを精緻化したほか、母子世帯については自立過程をより詳細に分析するために、受給期間中の職業と賃金の変遷、月々の最低生活費と収入充当費の変遷、ケースワークの変遷を把握した。また、母子世帯の自立過程の特性を明確にするために、比較対象群として、母子世帯以外の有子世帯(障害者世帯、傷病者世帯、その他世帯)を抽出し、分析に必要なデータ入力を行った。 第二に、これまでの研究経過を報告し、中間段階における研究成果を還元し、福祉現場と意見交換をするために、本研究の中間報告会をA自治体で開催した。本研究のデータベースに基づく分析方法やデータの解釈に関して、福祉事務所のケースワーカーや査察指導員と意見交換を行い、今後の研究課題を析出した。 第三に、生活保護受給母子世帯への面接インタビューを継続して実施した。1年目にインタビューした母子世帯に再度インタビューを実施し、1年目には把握できなかった諸点に接近した。また、1年目と2年目における生活状況・世帯条件の変化に着目し、時間の経過とともに母子世帯の仕事や子育てにどのような影響が生じうるか、対象世帯を通して確認した。
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