研究概要 |
3年計画の最終年度にあたる平成20年度は, 生活保護受給母子世帯の就労・生活条件の変化を長期継続的に把握し分析するための作業として, A自治体の協力を得ながら以下の諸点に取り組んだ。 第一に, 平成17年度に生活保護が廃止された全世帯のデータベースを完成させ, 母子世帯および母子世帯以外の有子世帯については比較可能なタデータセットを作成した。さらに, それらのデータに基づく分析を開始し, 3年間の研究成果を発表する最初の論文を執筆した。 第二に, 生活保護受給母子世帯の相対的な位置を検討するために, A自治体における母子世帯関連のデータを収集した。児童扶養手当の受給動向や生活保護との関係についてはとくに担当者と意見交換を重ね, 児童扶養手当に関するデータ収集を行った。 第三に, 1・2年目に続いて生活保護受給母子世帯への面接インタビュー調査を実施した。これまでインタビューを重ねてきた母子世帯に面接インタビューを行い, 生活状況・世帯条件の変化を確認するとともに, 時間の経過とともに母子世帯の仕事や子育てにどのような影響が生じうるかについて把握した。また, インタビュー資料の取り扱いや研究成果の発表方法について, あらためて説明・相談を行い, 各当事者との合意を形成した。 第四に, 母子世帯の支援策に関するスウェーデン調査を行った。当事者団体, 支援団体, 保育所, 公共職業紹介・職業訓練機関等を訪問し, 母子世帯の労働と福祉を支える個別プログラムのあり方と課題について現地資料を収集した。 以上の研究遂行にあたっては, 研究分担者との研究会の開催, A自治体との協議・意見交換を随時行った。
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