研究概要 |
本研究の日的は,大学を核とする知識集約型の地域経済振興策について,具体的かつ実践的な政策評価モテルを提案し,政策目的に即し,しかも地域特性に適った地域振興を図ることである。(この場合「政策評価」とは,採択評価,中間評価,終了評価を含む広義に用いている。) 2年目である平成19年度は,知的クラスター創成事業の1期が終了したため,本施策が抱えた実際の問題点を分析した。分析結果は,国内外学会にて発表を行った。また,これらの結果を踏まえて,II期の実際の採択に向けた評価手法を検討した。なお,本手法の中には,評価項目だけでなく,評価委員のあり方も含む。また,都市エリア事業についても,地方政府負担額などの比較といった,地域自治体側からみた地域振興施策についての分析を実施した。さらに,知クラ事業の年度報告書についても見直しを図り,各種知見を実際の現場に活かすことを試みた。今後,次年度にかけて,この手法の有効性等を検討することとし,他の地域振興施策にも活かすことを試みる。また,海外における地域振興のあり方について,イギリス(ロンドン,オックスフォード地域),スウェーデン(ストックホルム,ウメオ地域),米国(西海岸,中西部地域)にてヒアリング調査を行った。イギリスオックスフォード地域では,Oxford大学の技術移転機関と意見交換を実施し,各国における施策の違いについて,特に「地域振興における大学の役割」の違いや,「ピアレビューを用いた評価手法」に関する分析を開始した。また,米国中西部(ウィスコンシン地域)では,大学側から見た地域振興のあり方,および役割に関する現地調査を実施した。ウィスコンシン大学では,日本における地域振興施策のあり方について,ビジネススクールにて講義を行った。国内地域については,引き続き現地調査を実施しており,最終年度に発表予定である「現場の視点を活かした地域振興施策のあり方」に関する提言についての準備をおこなっている。
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