研究課題/領域番号 |
18330061
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
嶋野 武志 長崎大学, 経済学部, 教授 (80380814)
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研究分担者 |
須齋 正幸 長崎大学, 経済学部, 教授 (40206454)
藤田 渉 長崎大学, 経済学部, 教授 (30264196)
福澤 勝彦 長崎大学, 経済学部, 教授 (00208935)
森保 洋 長崎大学, 経済学部, 助教授 (10304924)
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キーワード | 中国元 / フラグメンテーション / アジア域内貿易 |
研究概要 |
本年度は、中国を中心とするアジアの貿易および資金移動の特性について基礎的な調査を行った。実物経済面の調査では、計画にあるとおり、ヒアリング担当の嶋野を中心として、特に中国経済の現状について現地ヒアリングを実施した。青島(担当:須齋)および香港(担当:嶋野、須齋)にある日系銀行、商社および大学を訪問し、中国経済の現状、中国元の変動相場制移行の可能性とその影響、アジアの金融市場の現状と課題などについてヒアリングを二回にわたり実施した。青島においては中国を代表する電気メーカーであるハイアール本社を訪問し、生産技術水準や生産拠点に関しての経営戦略についてヒアリングを行った。そこでは、特に生産技術についてはたとえば三菱重工業との合弁事業などを利用して、より高度な生産技術の獲得に努力していることが示された。また香港のヒアリングでは中国経済は技術水準の低い分野での発展はなされているが、高付加価値分野では未だ低水準であることが共通認識であった。また中国の所得水準は平均的に上昇しており、国内消費の水準が将来的に一層増加するとの認識もすべての機関で一致したものであった。これらのヒアリングからは、中国の輸出財は高付加価値分野ではその質的な面では高い国際競争力を持っているとは言えず、したがって為替レートを通じた相対価格による競争力の重要性が依然高いものと認識されよう。その結果、ヒアリングでも指摘されたように、海外からの要請は依然高いものの、中国元が変動相場制に移行するにはかなりの時間がかかるものと予想されると考えられる。これらヒアリングの成果は現在嶋野を中心にまとめているところであり、平成19年度中に発表の予定である。 また、データベースの整備については須齋が担当し、EBS(Electronic Broking System)よりアジア通貨間の為替レートの超高頻度データを購入し、アジア域内の為替レートのデータベースを整備した。 フラグメンテーションの理論構築に関しては、当初の研究計画に則り藤田が進め、その成果を『経営と経済』に発表した。
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