研究課題/領域番号 |
18330070
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
須齋 正幸 長崎大学, 経済学部, 教授 (40206454)
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研究分担者 |
藤田 渉 長崎大学, 経済学部, 教授 (30264196)
福澤 勝彦 長崎大学, 経済学部, 教授 (00208935)
森保 洋 長崎大学, 経済学部, 准教授 (10304924)
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キーワード | 投資行動バイアス / AHP / 高頻度データ |
研究概要 |
本年度はアジアの金融市揚間の相互依存関係と域外市場からの影響、為替レートの影響について実証的に研究を進めてきた。 研究報告は国外の学会を中心に進めてきた。また、現地調査は中国本土および香港を中心に行ってきた。現地調査では四川省にある西南財経大学を訪問し、中国の経済の現状と中国元の変動相場制移行に関する予測、中国国内への予想される影響についてヒアリングを行った。そこでは、中国元が変動相場制に移行する場合、たとえば国内金融市場に大きな影響が予想され、現在の上海やシンセンの株式市場への影響はかなり大きくなることが危惧されるとのことであった。また変動相場制への移行は、国内の資本市場の整備が遅れているために、その時期に関してはかなり先になるであろうとの予想が示された。 論文および研究報告に関しては、アジアの金融市場間の関係を実証的に分析することで、域内の資本移動の現状の把握を進めた。また、その過程では資本移動に対して為替レートの変動や域外の金融市場、特にニューヨーク市場とアジア市場の関係を実証的に検証した。アジア域内ではドルペッグ制を採用している国が多いが、日本やシンガポール、台湾に対しては変動相場制と同じ意味を持つために、為替レートの変動は域内国間ではすでに経験していることである。この影響を考慮した場合、域内金融市場間の相互依存関係はより弱いものとなることが明らかとなった。またニューヨーク市場がアジア域内の金融市場には有意な影響を与えていること、その影響をアジア金融市場間の影響から除去した場合には、アジア城内の金融市場間の関係は弱いものとなり、特に東京市場から他の市場に与える影響は極めて弱いものとなることが示された。以上のことから、為替市場の変動やニューヨーク市場からの影響を考慮しない場合には、アジア域内の金融市場間の相互依存構造は過大評価される危険があることが明らかとされている。
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