研究概要 |
平成19年度は,昨年度までの海外調査から,社会的企業の成立基盤として中間支援組織の重要性を認識したこと,また,海外調査の日本へのインプリケーションを得るためにも,日本国内の社会的企業の実態を明らかにする必要があったことから,第一に,障害者雇用に関わる社会的企業や神戸のコミュニティ・ビジネス,また,それらを支援している中間支援組織の調査研究を行った。具体的には,障害者雇用に関する社会的企業として,共同連のねっこ作業所,がんばったカンパニー,くらしの宝島(以上は滋賀県),NPOばれっと,くるめ・一歩の会(東京都),ワーカーズ・コレクティブ協会,地域作業所グリーン(神奈川県),見沼福祉農園(埼玉県)べてるの家(北海道浦河)等にヒアリング調査を行った。また,中間支援組織としては,神戸でコミュニティ・ビジネスの促進に携わっているコミュニティサポート・センター神戸,さいたまNPOセンター,杉並NPO支援センター,フユージョン長池等のヒアリング調査を行った。こうしたヒアリング調査から,日本では,障害者と健常者が「共に働く」ことを目指した社会的企業が数多く生まれてきているものの,福祉政策(障害者自立支援法)と雇用政策の齪酷などから,様々な問題を抱えていることが理解できた。また,NPOの中間支援組織に関しては,資金調達が困難な状況にあり,地域でネットワークを構築しながら,現場NPOと共同型事業を展開させることが重要な戦略になりうることを理解できた。 第二に,昨年に引き続き,3月に英国のイースト・ロンドンとグロスター県で主として中間支援組織の調査を行い,英国では,日本と異なり,中間支援組織がアセンブリーを形成して,NPOセクターの利害を集約して代表する機能を有していることが理解できた。
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