研究課題/領域番号 |
18330082
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
五十嵐 伸吾 九州大学, ベンチャービジネスラボラトリー, 助教授 (00403915)
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研究分担者 |
田路 則子 法政大学, 経営学部, 助教授 (00322587)
鹿住 倫世 高千穂大学, 経営学部, 助教授 (00349193)
露木 恵美子 明星大学, 情報学部, 助教授 (10409534)
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キーワード | インキュベーション / 技術移転 / ハイテクスタートアップ / スタートアップ支援 / ギャップファンド / 大学人の兼業 / VC |
研究概要 |
インキュベーションの調査として、シンガポールと中国、スイス、ドイツ、フランスへ出張した。スタートアップへのヒアリングは、これらインキュベーションに入居する企業と、日本の半導体分野の未公開企業へ実施した。 シンガポールは、貿易産業省の関係機関が主導して114のインキュベーターを擁し、VC投資先への同額投資やエンジェルファンドの創設等積極的である。業種は製造業からICまで幅広い。シンガポール大学のスタートアップ育成には、民間出身者のスタッフが中心となって運営している。それに対して、中国の上海交通大学と精華大学は、大学人と民間人がミックスになっている。投資機能も持っているが、民間VCが未成熟なので、シンガポールほどは興隆していない。業種はバイオ、電子電気、IT、素材の順である。スイスのETH(チューリッヒ工科大学)付属機関は、他の欧州諸国よりもTLOの設立が遅く、ファンドはもっていない。成功例はノバルティスファーマに買収されたバイオ企業があるが、他はコンサルティングやIT企業がほとんどである。ドイツは、南部を中心に、フランフォッファー等国研のライセンシングやスピンアウト促進を担う機関が、VC紹介やCEO人材紹介も行うがまだ難しい。投資ファンドも持っており、2006年に一社がIPOした。北部のハンブルクでは、ハンブルク工科大学のTLOやリエゾンオフィスがあるが、目だった成果はない。南部に比べると雇用創出目的の感が大きい。フランスのグルノーブル地域は、インキュベーション、TLO等活発な起業支援が行われており、ナノテクや電子産業の集積がある。近くのリヨン地域はバイオ系に強い。ともにパリよりも、スイスのジュネーブとの関係が深くなっている。日本のハイテクスタートアップの中で製造業は、資金・人材の両面で資源獲得が難しいことがわかった。特に成長から出口までの戦略を描けるCEOの確保は至難である。
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