研究課題
本研究の目的は、主に日本・台湾・韓国の企業を対象に、一度低迷を喫したが、組織慣性を克服し競争力再構築に成功する組織再生現象について、組織間関係、資源戦略の観点から理論・実証的な比較研究を行うことにある。平成19年度は、理論的枠組みについての議論と並行して、台湾企業への実地調査、外部講師講演会や計8回の研究会開催、分野別分担研究を実施した。具体的な内容は、主として以下の3点である。第一に、企業再生について、組織の再生に関する文献レビューを更に深めた上で、比較経営分析的観点から、日本、韓国、台湾の企業システムを対比した。また、資源ベース理論、ダイナミック、ケイパビリティ論と企業再生を結びつけるため、外部専門家講演や共同研究者による理論研究報告及び討議を行った。平野(2007)は理論構築に貢献するものである。第二に、前年度から継続して、企業競争力に関するデータベースの構築と分析を行った。その成果の一部については、学会やJETROで発表し、モデルを構築する上での有益なフィードバックを得た。(陳・井村、2007;Imura&Chen、2007他)第三に、海外企業のフィールドワークにおいては、2007年8月29日-9月1日、台湾の宏碁子会社緯創(パソコン)、裕隆子会社中通汽車(自動車販売)、大同グループ(家電)、華邦(半導体)、富優(金型)などを取材した。また、昨年度調査に基づき、陳・井村(2008)において、台湾企業の再生に対する状況や企業風土等について報告した。韓国のハイニクスのV字回復については、前年度の実地調査を踏まえて分析を行った。姜・平野(2008)はその成果である。また、韓国現代自動車やマツダについての文献サーベイを行った。以上の内容を踏まえ、最終年度においては、アジアにおける企業再生の全体的な枠組みについて議論・検討していく。
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九州国際大学経営経済論集 14(2・3)
ページ: 111-134
広島県立大学論集 11(2)
ページ: 63-73