本研究では、倒産したり産業再生機構等から支援をうけた企業の破綻に至る過程に内在するリスクを明らかにした。 なお、また分析に際しては2001年から2007年までの7年間に倒産した資本金額3000万円以上の全企業を抽出し、データを倒産処理別に分析した。さらに、定量的データ(財務データ)を用いるだけでなく定性的データをも用いて、分析を行った。 定性的データの分析に際しては、当該企業の公表データ、帝国データバンクのCCR報告書の文書を最新の言語処理系のソフトウェアを使用して分析し、経営悪化企業の中でも、再生可能性の高い企業を特徴づける表現を観察した。その結果、配当政策や留保利益を説明する文章に経営悪化企業と、再生可能性の高い企業では、表現の違いが顕著であることが判明した。そこで、さらに同時期に倒産した上場企業について、有価証券報告書の配当政策を記述している文章について同様の分析を行った。その結果、再生可能性の高い企業は留保の確保の重要性を述べ、かつ将来プランが明確となっていた。 このように企業の非財務データまでも分析した研究は他に類を見ないものであり、本研究の成果は高く評価できよう。
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