研究課題/領域番号 |
18330087
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
秋野 晶二 立教大学, 経営学部, 助教授 (50202536)
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研究分担者 |
林 倬史 立教大学, 経営学部, 教授 (50156444)
坂本 義和 千葉経済大学, 経済学部, 講師 (70350288)
鹿生 治行 山形大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (40419239)
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キーワード | パーソナルコンピュータ / イノベーション / 研究開発の国際化 / 設計の国際分業 / イノベーション・ネットワーク / ケイパビリティー / 細分化された分業構造 |
研究概要 |
今年度は、5回の研究会および2つの工場への調査を実施した。その結果、研究成果として得られたおもな知見は、以下の通りである。PC産業は、既存のコンピュータ、電卓やエレクトロニクス産業において1970年代前半までに蓄積されてきた部品やコンポーネントの産業を基盤としていた。またPCメーカーを中心に、それに部品、周辺機器を開発・生産する企業群、またソフトウェアを供給する企業群が創出され、PC産業は、もともと細分化された分業構造の中で形成してきた。80年代になり、このような構造を積極的に活用することで、IBMはPC市場に迅速に参入し、支配的な地位を獲得するとともに、この分業構造をより強固に構造化していった。このような構造によりPC産業は参入障壁が低く、差別化も困難となり、競争が激しくなって、部品や周辺機器、PC本体をも、日本や韓国、台湾などのアジアを中心に低価格で委託生産する体制が築かれた。その結果、80年代にアジアのOEM企業群が成長し、グローバルな分業構造を形成・強化させていった。その後、PC産業は、90年代初頭の停滞を経ながらも、80年代のビジネス市場から、一般家庭市場へ市場を大きく拡大させながら、2000年半ばまで成長が持続した。この過程で、以前にも増して、激しい価格競争と技術革新による価格低下に加え、短期間での新機種投入と多機能化とを伴う多品種化が同時に進行していった。それを可能としたのは、細分化されたグローバルな分業構造の中で、その一端を担うにすぎないインテルやマイクロソフトが、PC産業全体の発展を主導する形でイノベーションを進めると同時に、他の部品・コンポーネント・完成品・ソフトを生産する諸企業に対してイニシアティブを取りながら、そのイノベーションを波及させ、絶えず新製品を生み出す仕組みをグローバルな分業構造が構造化していったことにある。
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